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税務トピックス 記事

■2025年4月1日

雇用保険法の改正

 

◆令和7年4月1日改正施行

 雇用保険では4月以降、大きくいうと4項目が改正されます。順に見てみましょう。

 

①自己都合退職者の給付制限期間の見直し……退職者が失業給付(基本手当)を受ける際の給付制限は現在7日間の待機期間の後、給付制限期間が2か月ありますが、4月からは1か月に短縮されます。基本手当が早くもらえることで求職活動もより積極的になり、再就職までの期間が早まるとみています。

 しかし5年間で3回以上の自己都合退職をした場合の給付制限期間は現状の3か月のままで、短期に転職を繰り返す人に歯止めをかけています。

 一方で離職期間中や離職日前の1年以内に教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けた場合の給付制限はなく、待機期間終了後すぐに基本手当が受けられます。

②教育訓練給付金の創設……教育訓練給付は2024年10月に給付率を引き上げました。2025年10月には新たに「教育訓練休暇給付金」を設けます。

 在職中に教育訓練のための休暇(無給)を取得した人に基本手当相当を支給するものです。

③シニア向けの改正……高年齢雇用継続給付金の給付率が下がります。60歳以降も働き賃金が60歳時点の75%未満に下がった人に対し、今までは最大下がった賃金の15%が支給されてきましたが、10%に引き下げられます。対象は4月以降に60歳になる方です。すでに受給している方は以前と同様15%です。

④育児関係2つの給付金を新設

ア、「出生後休業支援給付金」 男性が子の出生後8週間以内に14日以上の育児休業を取得した場合、最大28日育児休業給付に13%上乗せし、通常の給付率67%に足して80%とします(手取りで10割相当になる)。男性の育児休業取得を促すための対策です。

イ、「育児時短就業給付金」 2歳未満の子を養育するために短時間勤務をして賃金が下がった場合、支払われた賃金の最大10%を支給し、時短勤務で減った賃金を補う制度が作られます。

<情報提供:エヌピー通信社>

(注意)
上記の記載内容は、2025年4月1日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2025年4月1日

出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金の創設

 

◆令和7年4月1日より67%→100%に

 雇用保険の育児休業給付金は広く知られていますが、2022年10月創設の「出生時育児休業給付金」はご存じの方が少ないかもしれません。「産後パパ育休」といって子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間に4週間(28日)以内の期間を定めて、当該子を養育するための育休を取得した被保険者である男性が対象になります。この産後パパ育休は従来の育児休業給付金と同じ給与の67%相当が支給されます。

 この度この率を上げ100%を補償する「出生後休業支援給付金」が創設されます。

 これにより育休中の収入減をカバーし、特に男性の育児休業を促進することを目指しています。

 

◆支給要件・支給額

 子の出生直後の一定期間に両親ともに(配偶者が就労していない場合は本人が)14日以上の育児休業を取得した場合に出生時育児休業給付金または育児休業給付金と合わせて「出生後休業支援給付金」を最大28日間支給します。ポイントは出生直後に夫婦そろって育児休業を取得することです。夫婦2人分とも支給されますし、育児休業中は申し出により健康保険料、厚生年金保険料が免除され、勤務先から給与が支給されない場合は雇用保険料の負担はありません。また、育児休業と給付金は非課税です。よって休業開始時賃金日額の80%の給付率で手取りの10割相当の手取りとなります。ただし休業開始時賃金日額には上限額があるのでご留意ください。

 

◆申請手続き

 出生後休業支援給付金の支給申請は原則として出生時育児休業給付金、育児休業給付金と併せて同一の支給申請書を用いて行います(別途申請も可能ですが他の給付金の後になります)。

 

◆育児時短就業給付金の創設

 現在は育児のため短時間勤務制度を選択し賃金が低下した労働者に対する給付制度はありませんが、4月より「育児時短就業給付金」が創設され賃金低下分をカバーできるようになります。

 対象は2歳未満の子を育て時短勤務を利用している労働者、支給額は時短勤務中の各月に支払われた賃金額の1割、条件は時短勤務開始前の2年間に12か月以上雇用保険の被保険者であることです。

<情報提供:エヌピー通信社>

(注意)
上記の記載内容は、2025年4月1日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2025年3月18日

事業の成績表の分析で利益を多く残す工夫につなげましょう

 

◆決算書=事業の成績表を分析してますか?

 決算書は一年間の事業の成績表です。個人事業の場合は暦年決算なので、1~2月頃には前年の成績表ができているでしょう。決算書をどう見ていますか。単に前年より増えた減っただけで終わっていませんか。

 もう少しだけ比較対象を拡げ、同規模の同業他社と比べ、自社の強みと弱みをしっかりと認識するところまで、決算成績表を活用してみませんか。

 

◆自業種での適正な原価率・人件費率等は?

 飲食店経営の場合を例にします。「食材費」と「人件費」の「売上高」に占める割合を「FL比率:F=Food、L=Labor」といい、一般的にFL比率の適正値は60%以下といわれています。FL以外の経費(店舗家賃、水道光熱費、機器のリース料など)が30%超えることが多いため、FL比率が70%を超えてくると、利益がほとんど残らなくなり、立ち行かなくなります。そのため、飲食店経営においては、FL比率を常に把握し、改善をしてゆくことが、経営を安定させることにつながります。

 

◆利益増は売上増か経費の削減

 利益増には、売上を増やすか、経費を減らすか、その両方かということになります。

 売上=客数×客単価です。あなたのお店で客数・単価を増やすには、どんな方法がありそうですか。座席数を増やせないか、回転率を上げられないか、客単価を増やすには何か策がないか等々、検討し実行すべきアイデアがいくつか出てくるでしょう。

 経費の削減については、食材費の質を落とすと客離れにつながるので、ムダがないかの検証が必要です。同じ食材でも購入方法いかんで仕入額が高くなっていませんか。業務卸店で仕入れるのではなく、面倒だからといって近所のお店で一般消費者と同じ値段で購入などしていませんか。食材ロスの減少はできそうですか。また、常連客へのサービスとして盛りを大きくして原価増となっていませんか。こうしたものがあれば即見直しが必要です。

 人材配置も過剰に心配して厚く集めすぎていませんか。効率的な動き方の業務マニュアルの作成などでムダな人件費の発生の抑制も目指しましょう。

 数字を比較・分析して、いろいろな工夫をし、多くの利益が残るような成果につなげてください。

<情報提供:エヌピー通信社>

(注意)
上記の記載内容は、2025年3月18日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2025年3月18日

従業員個人の携帯電話を業務利用している場合の諸問題

 

◆個人の携帯電話を仕事利用してませんか?

 従業員個人の携帯電話を業務に使わせたり、利用することを容認せざるを得なかったりといったケースは少なくありません。“法人契約だと高くつくし、利用料としていくばくかの手当を払っているので良しとしよう”といった理由でこれまで過ごしてきたという状況ではなかったでしょうか。

 

◆業務使用部分の経費化と精算方法

 個人携帯の使用料を会社が負担し、会社の経費とするためには、通話明細書等により確認された業務のための通話に係る料金を従業員が明示し、それを企業が従業員に支給すれば従業員に対する給与として課税する必要はありません。また、業務のための通話を頻繁に行う業務に従事する従業員については、国税庁が例示している所定の算式により算出したものを、業務のための通話に係る料金として差し支えありません。

 が、しかし、現実的には、通話明細を開示して業務用だけ抽出して提示することを忌避されたり、毎月計算することが面倒だったりとして使いづらい精算方法です。一定の金額を通話料手当として給与課税としてしまっているケースが多いのではないでしょうか。

 

◆個人情報保護・事業情報漏洩防止のために

 経費問題をクリアしたとしても、コンプライアンスの観点や情報漏洩のリスク、個人情報の保護などから問題なしと言えるでしょうか。

 個人の携帯電話には従業員の個人情報やプライベートな通信記録などの保護されるべき情報が詰まっています。逆に、業務上の企業の機密情報が個人携帯から漏洩してしまうリスクもあります。従業員が退職して機密情報を持ったままライバル企業に就職してしまうこともないとは言えません。また、業務の電話が個人の勤務時間外でもつながる状況にあると労働時間の問題も惹起しかねません。

 個人携帯と会社携帯と2台持ちになると荷物になるし充電も倍になるから面倒だという意見もあります。しかしながら、会社契約で、セキュリティ対策も万全にし、Web閲覧の制限でウイルス感染を防ぎ、会社が情報を管理でき、仕事とプライベートを切り離すことができて、かつ、経費算入の問題もすっきりする法人契約の携帯電話利用にそろそろ切り替えるべき時期になってきているのではないでしょうか。

<情報提供:エヌピー通信社>

(注意)
上記の記載内容は、2025年3月18日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2025年1月28日

代襲相続人になれない養子の子

 

◆相続における養子のメリット

 自分の子供以外に財産を承継させたいときはその者と養子縁組することにより、養子に財産を相続させることができます。

 また、法定相続人の数には他に実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人まで含めて相続税の基礎控除額(遺産に係る基礎控除)を1人あたり600万円増加させて計算し、税負担が少なくなります。ほかにも生命保険の死亡保険金および死亡退職金についても法定相続人1人あたり500万円が非課税となり、相続税額を少なくすることができます。

 

◆相続人の子が代襲相続人となる場合

 相続人となる子が先に死亡していた場合、その死亡した子の子は代襲相続人として親の代わりに相続できます。ただし、代襲相続人から被相続人の直系卑属でない者は除くとされています。

 ところで被相続人の養子が先に死亡していた場合、養子縁組前から養子の子が被相続人の代襲相続人になれるかが問われた裁判がありました。

 

◆養子の子が代襲相続人になれない場合

 令和6年11月、最高裁では養子の子が代襲相続人になれないとされました。被相続人には配偶者も子もなく、親も死亡していました。そこで被相続人の母と養子縁組していた被相続人の従妹がただ一人、被相続人の兄弟姉妹(養子)として相続人になりますが、被相続人より先に死亡していたため、その子(養子の子)が代襲相続人として不動産の所有権移転登記を申請しました。登記官は「申請の権限を有しない者の申請」であるとしてこれを却下したため、裁判となりました。

 原審(高裁)は、兄弟姉妹が相続人となる場合、代襲相続人の条件である「被相続人の直系卑属でない者を除く」を「傍系卑属でない者を除く」と読み替え、養子の子は傍系卑属で代襲相続人になれるとしました。

 最高裁は養子縁組前に出生した養子の子は養子縁組による血族関係を生じないことから代襲相続人になれないとした過去の判例を参照し、本件においても被相続人の兄弟姉妹が被相続人の親の養子の場合、養子の子は被相続人と養子の共通の親の直系卑属でないことから養子の代襲相続人とはなれないとしました。

 本件では、遺言書を作成しておけば相続できたものと思われます。傍系卑属の養子縁組には今後、注意が必要です。

<情報提供:エヌピー通信社>

(注意)
上記の記載内容は、2025年1月28日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2025年1月28日

年金と税制

 

◆老齢年金は課税、障害・遺族年金は非課税

 公的年金給付は受給権者の生活の安定のため、支給を受けた金額が租税等の課税対象とならぬよう課税対象から外されています。ただし例外的に老齢年金は課税対象とされています。これは、老齢への備えとして保険料納付実績に比例した給付であり、一種の貯蓄的な性格や給与の後払い的な性格があること、保険加入中に被保険者として納付した保険料は社会保険料控除として拠出段階ですでに非課税であること等を勘案したものとされています。

 障害年金と遺族年金はあらかじめ発生を予期できないリスクに対応して給付を行うもので非課税とされています。

 

◆公的年金は公的年金控除の対象

 公的年金等の収入は雑所得に区分され、公的年金等控除額を差し引いて、所得金額を計算します。公的年金控除の額は定額控除40万円と定率控除(50万円を差し引いた後の年金の収入に応じて、25%、15%、5%と段階的に減少)を合計し、合計額と最低保障額(国民年金基金、65歳以上は110万円、65歳未満は60万円)の大きい方の額になります。

 公的年金控除は基礎年金、厚生年金、厚生年金基金、国民年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金(企業型・個人型iDeCo)等が対象です。

 

◆老齢年金でも一定額以下は非課税

 単身者で公的年金控除の最低保障額110万円と基礎控除48万円に支払った医療保険料、介護保険料等の社会保険料控除を加えた額が所得年金収入158万円に社会保険料の額を加えた額以下の場合は、課税所得がないので所得税は非課税になります。

 住民税を見ると公的年金等控除最低保障額110万円を差し引いた額が均等割り非課税基準以下の場合は非課税です。非課税基準は自治体により異なりますが、東京23区や指定都市の基準は同じです。

 年金に所得税がかかる場合は、日本年金機構が年金支給額から所得税を源泉徴収して国に納付します。公的年金等以外の所得が20万円を超える場合や公的年金等の収入が400万円を超える場合は確定申告が必要です。

<情報提供:エヌピー通信社>

(注意)
上記の記載内容は、2025年1月28日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。