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税務トピックス 記事

■2024年11月4日

自然災害と時間外労働

 

◆災害と時間外労働の関係

 今年は元旦に能登半島での大地震があり、夏には南海トラフ地震の注意喚起がされました。さらに、ここ数年大雨での局地的な水害も多く発生しています。災害は予告なく起きるものですが、一方で、企業は、災害が発生した場合には社会インフラを止めてはならず、可能な限り早急な復旧が求められます。これらの対応のため、従業員に法定労働時間や法定休日を超える労働(時間外労働)をさせる必要が出てくることもあります。時間外労働といえば、労働基準法36条による「36協定」の締結によるものが一般的ですが、同33条では、「災害等による臨時的な時間外労働」が認められています。

 

◆労基法33条の概要

 労働基準法33条を要約すると、「災害その他避けることができない事由によって、臨時の必要がある場合においては、企業は、労働基準監督署の許可を受けて、必要な限度の範囲で、時間外労働をさせることができる」とされ、また、同ただし書きでは、「事態が切迫して、労働基準監督署の許可を受ける暇がない場合には、事後に遅滞なく届け出る」ことも認められます。

 

◆適用上の注意点

 労基法33条を適用して、時間外労働をさせる場合には、次のような注意点があります。
・労基法33条を適用する場合でも、割増賃金の支払いは必要になります。
・労基法33条を適用する場合には、いわゆる上限規制が適用されませんが、それゆえ健康障害を防止する措置を講じる必要があります。
・「労基法33条による時間外労働を、従業員は拒否できるか」の問題について、就業規則等に「緊急で必要がある場合には、時間外労働を命ずる場合がある」旨を規定しているのであれば、従業員はその命令に従う義務があります。逆に、就業規則等にこれらの記載がない場合における従業員の義務については、「有り」とする説と「無い」とする説に分かれています。従って、仮に記載がない場合には、復旧作業等に従事する従業員から、個別の同意を得たほうが無難といえるでしょう。

<情報提供:エヌピー通信社>

(注意)
上記の記載内容は、2024年11月4日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年11月4日

小規模宅地等の特例 -家なき子-

 

 相続で子に居宅を引き継ぐとき、子は既に別居して生計を別にしているが、持ち家ではない場合、居住用宅地について一定の要件を満たすことにより、小規模宅地等の特例を適用して土地の評価額を最大80%(土地面積330㎡まで)減額して相続税の負担を軽減することができます。一般に「家なき子特例」と呼ばれますが、子に限らず親族に適用することができます。

 

◆被相続人の要件

①被相続人に配偶者がいないこと。
②相続開始の直前において被相続人と同居していた法定相続人がいないこと。

 

◆取得者の要件

①被相続人の居住用宅地を相続又は遺贈により取得すること。
②居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者のうち日本国籍を有しない者ではないこと。
③相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族または取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く)に居住したことがないこと。
④相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと。
⑤相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を有していること。

 

◆老人ホームに入居の場合

 相続開始の直前に被相続人の居住の用に供されていなかった場合においても、相続開始の直前において要介護認定、要支援認定等を受けていたこと、老人福祉法等に規定する老人ホーム等に入居等をしていたこと、建物を事業の用、被相続人等以外の者の居住の用に供していないことの要件を満たすときは、入居等の直前まで被相続人の居住の用に供していた宅地等は特定居住用宅地等に該当し、先に掲げた要件を満たすときは特例の適用を受けることができます。

 

◆孫に遺贈することもできる

 「家なき子特例」は被相続人の親族に適用されますので、子に既に持ち家がある場合は持ち家のない孫に居宅を遺贈し、先に掲げた要件を満たすときは、特例の適用を受けることができます。なお、孫は相続人ではないので相続税は2割加算となります。孫世帯の生活設計と合致すれば居宅を承継させる有効な方法となるかもしれません。

<情報提供:エヌピー通信社>

(注意)
上記の記載内容は、2024年11月4日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年10月1日

クラウドサービス利用の注意点

 

◆クラウドサービス利用と個人情報保護法

 ネットビジネスの進歩によって、クラウドサービスを利用する企業が多くなりました。同時に、クラウドサービスを利用する際には、個人情報保護法との関連で注意すべき点もあります。多くの民間事業者は、基本的に個人情報保護法における、個人情報取扱事業者となり、入手した個人データを、第三者に提供する場合には、原則として、本人の同意を必要とするなど、様々な義務が課されています。(個人情報保護法第27条など)

 

◆クラウド例外とは

 いわゆる「クラウド例外」とは、一定の要件を満たす場合には、クラウドサービスを利用する企業に対して、個人情報保護法上の義務を課さないとするものです。なお、この「クラウド例外」は、個人情報保護法に規定が設けられているものではなく、個人情報保護委員会の「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」での取り扱いに過ぎませんが、実務では広く利用されています。具体的には、Q&A7-53において、「当該クラウドサービス提供事業者が、当該個人データを取り扱わないこととなっている場合には、当該個人情報取扱事業者は、個人データを第三者に提供したことにはならない」とされています。

 簡単に言えば、クラウドサービス提供事業者が個人データを預かっているだけの貸倉庫業のような場合が、これに該当します。ここでの「当該個人データを取り扱わないこととなっている場合」とは、契約の内容に、「当該外部事業者が、サーバに保存された個人データを取り扱わない旨が定められており、適切にアクセス制御を行っている場合等が考えられる」とされています。

 

◆クラウドサービス利用者の対応

 これを逆に言えば、「クラウド例外」に該当しない場合には、「クラウドサービスを利用する企業は、個人情報保護法上、原則通りの義務が課される可能性がある」ということになります。従って、既にクラウドサービスを利用している場合、または、新たにクラウドサービスを利用しようとする場合にかかわらず、当該サービスが「クラウド例外」に該当するかどうか、契約内容をきちんと把握することが大切になります。

<情報提供:エヌピー通信社>

(注意)
上記の記載内容は、2024年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年10月1日

土壌汚染のある土地の評価

 

 工場跡地でマンションや商業施設などを開発するとき、特定有害物質による土壌汚染が見つかることがあります。土壌汚染は人の健康を害するため、土地所有者等は土壌汚染対策法により、汚染状況について専門機関による調査を行い、都道府県知事に結果報告が求められます。基準に適合しない場合は区域の指定を受け、汚染土壌の除去や封じ込め等の措置が求められます。

 

◆土壌汚染された土地は、減価される

 土壌汚染対策法は平成14年に制定され、国税庁は、平成16年7月、汚染された土地の評価について原価方式を基本とする資産課税の取扱いを公表しました(16年情報)。

 その後、国税不服審判所の裁決事例が積み重ねられ、国税庁は令和6年7月、土壌汚染のある土地の評価について原価方式を踏襲しつつ、あらためて資産課税の取扱いを整理し、公表しました。新たな取扱いでは、特定有害物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないことが明らかな土地は、土壌汚染の調査・対策の義務付けの有無にかかわらず、土壌汚染地に該当することが明記されています。

 

◆相続評価は原価方式

 原価方式は、不動産鑑定評価で採用される評価法です。「減価のない土地の評価額」から「浄化・改善に要する費用」「使用収益の制限を受けることによる減価相当額」「心理的要因による減価相当額」を控除します。

 浄化・改善費用は、汚染がない土地の相続評価額が地価公示価格水準の8割程度とされるため、同様に見積額の80%相当額で評価します。使用収益の制限とは、封じ込め措置をとる場合、地中に特定有害物質が残留して土地の利用制限を受けることによるものです。心理的要因による減価とは、土壌汚染があることによる嫌悪感から生じるもの(スティグマ)をいいます。

 

◆除去・改善費用は確実な債務として控除

 浄化・改善費用について見積額が確定しているときは、浄化・改善措置の実施が確実であることから「確実と認められる債務」として評価額から控除します。また、都道府県から助成金が交付される場合は、債務額から助成金の額を控除します。

 

◆汚染の原因者には求償できる

 土地所有者等は土壌汚染の原因者に除去に要した費用を求償できます。求償権も相続財産として計上します。また、回収が困難であるときは、財産評価基本通達に則して貸付金債権の評価を行います。

<情報提供:エヌピー通信社>

(注意)
上記の記載内容は、2024年10月1日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年8月26日

求人時の労働条件

 

◆労働条件の明示義務

 2024年4月から、労働条件の明示義務について、その範囲を広げる労働基準法施行規則の改正が施行されていますが、当該明示義務は、職業安定法(以下「職安法」)にも規定があります。求人を行おうとする者は、求人の申し込みをするにあたり、求職者に労働条件を明示しなければならないことになっています。明示すべき労働条件の内容等については、今回の労働基準法施行規則の改正に合わせ、就業場所の変更の範囲、従事すべき業務の変更の範囲等が追加されています。(職安法施行規則4条の2第3項を参照)

 

◆求人時の労働条件を巡るトラブル

 求人票等に記載された労働条件と異なる労働条件が、その後面接等の採用過程で提示された場合には、しばしばトラブルとなることがあります。この場合に争点となるのは、求人票等に記載された求人時の労働条件は、「あくまでも見込みにすぎない」のか、あるいは、「労働契約の内容になるのか」です。この点での従来の裁判例の判断は、「求人時の労働条件は原則として労働契約の内容となるが、賞与や昇給等、事業の業績や経済情勢の変動等の不確定要素に大きく左右されることが明らかであるものは例外」とする判断がある一方で、求人票等の記載内容にもう少し強い効力を認める判断がされるものがあり、近年の裁判例でも「求人票の労働条件を重視する判断」が多く見られるようになっています。つまり、求人票等による求人時の労働条件と、実際の労働条件が異なる場合には、裁判所は労働者に有利な解釈をする傾向にあります。

 

◆求人時における労働条件明示の注意点

 特にトラブルが起こり得るのは、賃金についてです。労働者にとっては、最も関心が高い労働条件である一方、企業にとっては採用前の段階では、具体的な金額を明示することが困難であるからです。トラブルが起こり得るのは、賃金には限りませんが、ここで重要なことは、「企業側が労働者(求職者)に誤解を生じさせないこと」であり、求職者が誤解を生じないように、求人票等での的確な記載や面接等での丁寧な説明が必要になります。

<情報提供:エヌピー通信社>

(注意)
上記の記載内容は、2024年8月26日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年8月26日

定額減税 9割が負担実感

 

 全国法人会総連合(小林栄三会長)がこのほど実施した定額減税への「対応状況に関するアンケート調査」で、給与計算担当者の約9割が「事務負担が増えた」と回答しました。景気・物価対策としての効果については6割超が「効果がない」と答えています。

 

 調査結果によると「月次減税額の管理」が必要となるため、給与計算担当者の約9割が「事務負担が増えた」と感じていることが明らかとなりました。現場の声としては「定額減税に係る業務すべてが負担」「お金に関することで間違えてはいけないという心理的負担」「本来は必要がなかったムダな業務を行うことこそが心理的ストレス」などの意見が寄せられています。その一方で、「給与計算などの事務作業は外注しているので、自社では何もしていない」といった回答も一定数みられました。

 

 また、「今回の定額減税は景気・物価対策としての効果を期待できるか」との問いに対しては6割超が「効果がない」と回答。「一括でないため効果が実感できない」「給付金方式なら企業側の負担がなかった」「事務に係る手間・時間を考えるとむしろマイナス」といった不満の声が多く寄せられました。

 

 定額減税が来年度も実施される可能性があることへの是非については「企業に事務負担がかからない別の方法で実施すべき」との回答が7割超を占めました。また、「景気対策なら期間限定の消費税減税が効果的」といった意見も寄せられています。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年8月26日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年7月30日

ふるさと納税の〝うま味〟またもや減る

 

 またしても、ふるさと納税の制度が利用者にとって〝うま味〟の少ないものに変更されます。総務省はふるさと納税制度のルールを見直し、利用者に独自のポイントを付与する仲介サイトを通じた寄付の募集を禁止すると発表しました。「地産品限定」「原価率3割規制」といったルールの変更に加え、今回は寄付集め競争の過熱を是正するための措置として、仲介サイトによる「ポイント付与」が事実上禁止されます。周知期間を経て、2025年10月以降の寄付から適用する方針です。

 

 ふるさと納税は、仲介役となるポータルサイトを通じて自治体に寄付する利用者が増加しています。大手の仲介サイトでは利用者を呼び込むため、寄付金額に応じて独自のポイントを付与しています。

 

 総務省では、自治体が仲介サイトの運営事業者に支払う手数料にはポイントの原資も含む場合があるとみており、禁止すれば手数料が下がり、自治体の収入が増えると期待しています。ただし、寄付金をクレジットカード決済で支払った場合にカード会社が付与しているポイントなど、通常の商取引に伴うものは禁止しません。

 

 自治体が寄付を集めるために独自の取り組みを企画・立案し、実行するのは困難。〝集客力〟のある大手ポータルサイトに依存するのは当然の流れで、これを行政主体のホームページだけでPRしても多くの寄付は集まりません。

 

 自治体が広報・宣伝活動に多くのノウハウを持つ広告代理店やPR会社、ふるさと納税ポータルサイトを利用するのは当然のことで、これを封じるのであれば純粋な「広告料」「PR費用」といったコストが増えるだけでしょう。そうしないことにはポータルサイト側の運営に支障が生じます。そうなると、配送費や宣伝費も「原価率3割」に含む必要がある現行のルールでは、返礼品の品質や量を落とすしかありません。

 

 高額納税者の多くが利用するふるさと納税の〝うま味〟が、またもや制度を作った総務省によって減殺されることになりそうです。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年7月30日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年7月30日

夫婦間の役務提供についての課税

 

◆親族間の役務提供は原則、経費不算入

 夫はITエンジニア、夫と同一生計の妻はWEBデザイナーです。それぞれ独立した個人事業者として事業を行い、確定申告しています。このような中で夫が妻の受注した顧客向けECサイトの構築業務をサポートした場合、妻が夫に支払う役務提供の報酬は、妻の事業所得の必要経費に算入されません。また、夫は収受した報酬も自身の事業所得の収入金額に算入されず、サポートに要した夫の経費は、妻の必要経費となります。この取扱いは、夫婦など同一生計親族間で所得を分散させる租税回避を防止するために設けられた制度です。

 

◆弁護士夫婦事件で問われたもの

 独立した親族間の役務提供を所得金額に反映させることの是非が争われたのが、いわゆる「弁護士夫婦事件」です。

 裁判では、それぞれ独立して弁護士業を営む夫婦間において、妻弁護士が夫弁護士に提供した役務に対する報酬は、所得税法に規定するとおり、夫の事業所得の必要経費とならず、妻の事業所得の収入金額にならないと判示されました。

 また、親族からの役務提供を所得金額に反映させない取扱いと、親族以外の他人からの役務提供を所得金額に反映させる取扱いとの不整合が憲法14条違反となるかについても、裁判所は、これらの区別は合理的であり、憲法違反ではないとしました。

 

◆青色事業専従者給与等は必要経費算入

 一方、夫の事業に妻や子供などの親族が青色事業専従者等として従事する場合は、帳簿記帳と一定規模の就業、相当な対価などの要件をもとに、夫が親族に支払う給与は夫の事業の必要経費となり、支払を受けた親族の収入金額となります。これも親族間の役務提供ですが、透明性を担保に例外として所得金額への反映を認めています。

 

◆個人単位課税への転換が契機に

 親族間の役務提供の経費不算入も、青色専従者給与制度も、戦後、世帯単位課税から個人単位課税に移行する中で、補完措置として設定されました。しかし、現代は副業をはじめ多様な働き方が求められ、夫婦共働きや夫婦間での協業も普通に行われます。独立した事業を適正な対価で営む親族間の取引を所得計算から除外することは、時代の流れに整合しなくなっている面もあります。青色事業専従者として雇用し、法人成りして給与を支払うことでも経費算入は可能ですが、違和感はぬぐえません。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年7月30日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年6月4日

在職老齢年金、廃止も視野

 

 厚生労働省は、一定以上の収入がある高齢者の厚生年金を減額する在職老齢年金(在老)を見直す方向で検討に入りました。廃止も視野に入れて議論し、今夏に公表する財政検証に盛り込みます。

 

 在老は、65歳以上の人を対象に、賃金と厚生年金の合計額が月50万円を超えれば超過分の半額を厚生年金額からカットする仕組み。対象者は中小企業経営者などを含め約49万人に上ります。

 

 在老の対象とならないよう就業調整する例もあるため、財界や与野党から制度の見直しを求める声が上がっていました。ただ在老の廃止は「高所得者優遇」として批判を呼びかねないとして、厚労省では慎重に検討する構えです。

 

 厚労省は5年に1度、公的年金制度の財政検証を実施していて、今夏がそのタイミングに当たります。一定の経済前提を設け、100年先までの保険料収入や給付額の将来推計を実施し、年金財政の状況をチェックします。

 

 今回の財政検証では短時間労働者への厚生年金の適用拡大、基礎年金の保険料を納める期間の5年延長、物価や賃金の上昇幅よりも年金額の伸びを低く抑える「マクロ経済スライド」の調整期間の基礎年金と厚生年金での一致、厚生年金保険料の算出の基となる月収上限(65万円)の見直しなども盛り込むとしています。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年6月4日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年6月4日

定額減税の対象となる人

 

◆定額減税が6月から

 本人と配偶者・扶養親族について一人当たり所得税3万円(住民税1万円)を減税しますという定額減税が6月から始まり、源泉徴収税額に影響が出ます。この適用対象となる本人と配偶者・扶養親族については、次のような適用要件があります。

 

◆減税を受けられる本人の要件

1.令和6年分の所得税の納税者
2.日本国の居住者
3.本年分の主たる給与の支払者からの給与収入が2,000万円以下(子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける人は、2015万円以下)

 

◆減税を受けられる配偶者の要件

1.この減税を受ける本人と同一生計
2.合計所得金額が48万円以下
3.非居住者でない
4.青色事業専従者給与受給者・白色事業専従者控除適用者でない

 合計所得金額48万円は給与年収では、103万円です。
源泉所得税の徴収計算で「扶養親族の数」を一人増やすことになる源泉対象配偶者及び配偶者控除適用を受けられる配偶者とは範囲が異なっています。

 源泉対象配偶者は、合計所得金額が 95 万円(給与収入では 150 万円)以下が要件ですが、減税対象配偶者の所得要件は48万円以下です。

 

◆減税を受けられる扶養親族の要件

1.配偶者以外の親族
2.この減税を受ける本人と同一生計
3.合計所得金額が48万円以下
4.青色事業専従者給与受給者・白色事業専従者控除適用者でない

 上記における親族とは、民法に定める親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)をいいます。

 所得税の扶養控除の対象とならない16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)も控除金額の計算対象に含まれます。

 

◆要件充足のための追加申告書

 この減税を受ける本人の合計所得金額が900万円超のため、扶養控除等申告書の源泉控除対象配偶者の欄が空欄になり、減税対象配偶者要件に係る情報不足となる場合には、別途「源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書」に同一生計配偶者の情報を記載して、給与支払者に提出する必要があります。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年6月4日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年4月17日

相続時精算課税贈与者が贈与した年に死亡した場合

 

◆相続時精算課税制度とは

 相続時精算課税制度は、受贈者の選択により、60歳以上の父母、祖父母などの直系尊属から18歳以上の直系卑属である推定相続人又は孫が贈与を受けたとき、課税価格から2500万円の特別控除後の残額に20%の税率を乗じた額を課税し、贈与者が死亡したときは、相続税額を計算する過程で先に課税された贈与税相当額を相続税額から控除して精算するものです。

 相続税の申告書において相続時精算課税贈与を受けた財産の価額を相続税の課税価格に加算します。相続税には基礎控除(3000万円と法定相続人1人当たり600万円)があるので、贈与税額が相続税額を超えるときは、先に申告納付した贈与税の還付を受けることができます。また相続時精算課税制度は贈与者ごとに、父母の双方からそれぞれ贈与を受けることもできます。

 

◆贈与者が死亡した年の贈与は相続税で申告

 相続時精算課税の適用を初めて受ける者は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、相続時精算課税選択届出書を贈与税の申告書と一緒に提出します。

 相続時精算課税の適用を初めて受ける年に贈与者が死亡したときは、相続時精算課税選択届出書を贈与を受けた年の翌年3月15日(贈与税の申告期限)又は相続開始の日の翌日から10か月を経過する日(相続税の申告期限)のいずれか早い日までに相続税の納税地の税務署長に提出します。

 このとき贈与税の申告書の提出は要さず、相続税の申告書を提出します。

 

◆令和6年施行の改正内容

 令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以後の相続時精算課税贈与には、110万円の基礎控除が創設されました。110万円以下の贈与の場合は、贈与税の申告は不要となりますが、相続時精算課税選択届出書の提出は必要です。

 また相続時精算課税贈与を受けた土地・建物が相続税の申告期限までの間に、令和6年1月1日以後に災害により一定の被害を受けた場合は、相続税の課税価格に加算する額の計算の際、被災価額(保険金等で補てんされた金額を差引き後)を贈与時の価額から控除できます。

 

◆届出書の提出もれは暦年課税で思わぬ負担

 相続時精算課税の適用を受けようとするとき、相続時精算課税選択届出書の提出をうっかり忘れると暦年課税が適用され、思わぬ税負担が生じますので注意しましょう。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年4月17日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年4月17日

労災保険料率の改定 ~平成30年以来6年ぶり~

 

◆労災保険とは

 労災保険は、業務災害及び通勤災害に起因するリスクに備えた公的保険です。

 対象は正社員等だけでなく、パートやアルバイトも直接雇用すれば強制加入となり、保険料は会社が全額を負担します。

 労災保険料は、前年度の賃金総額に保険料率を乗じた概算保険料を前払し、翌年6月1日~7月10日に前年度の保険料を確定して過不足を精算し、当年度分を前納します。なお、雇用保険料と一緒に納付します。

 また、建設業の場合、雇用保険とは別に現場毎に適用されるなど異なります

 

◆労災保険料率の改定

 労災保険料率は、過去3年間に発生した業務災害や通勤災害の受給者数や平均受給期間等を基に発生予想額を考慮して改定されることになっています。

 前回改定は平成30年度で、令和3年度は改定されなかったため、今回6年ぶりの改定となります。

 

◆令和6年度の労災保険料改定

 改定される保険料率は、以下の3種です。

①保険料率・特別加入(中小事業主)
②第2種特別加入保険料率(一人親方)
③労務費率(建設・機械の据付け)
※他に第3種特別加入保険料(海外派遣者)もありますが、変更はありません。
 最も多く適用されている①について、改定対象業種と保険料率を紹介します。

 

<保険料が上がる業種・料率(千分率)>

パルプ・紙製造(6.5→7)、電気機械器具製造(2.5→3)、ビルメンテナンス(5.5→6)

 

<保険料が下がる業種・料率(千分率)>

林業(60→52)、定置網漁業・養殖(38→37)、石灰石・ドロマイト鉱業(16→13)、採石(49→37)、水力発電施設・ずい道新設(62→34)、機械組立据付(6.5→6)、食料品製造(6→5.5)、木材・木製品製造(14→13)、陶磁器製品製造(18→17)、その他窯業土石製品(26→23)、金属材料製造(5.5→5)、金属製品製造・加工(10→9)、めっき(7→6.5)、その他製造業(6.5→6)、貨物取扱(9→8.5)、港湾荷役(13→12)、船舶所有者(47→42)

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年4月17日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年3月21日

遺言書のデジタル化で諮問

 

 小泉龍司法相は2月中旬の閣議後記者会見で、現在は自筆しか認められていない遺言書のデジタル化について、法制審議会(法相の諮問機関)に諮問すると明らかにしました。デジタル化によって遺言書作成にかかる負担を軽減し、相続トラブルの防止につなげる狙いです。

 

 民法では、本人が遺言書を作成する「自筆証書遺言」の場合、自ら全文と日付、氏名を手書きし、押印しなければならないと定めています。財産目録については2018年の民法改正でパソコンでの作成が認められるようになりましたが、本文はいまだ自筆が求められ、作成時の負担になっています。

 

 法制審への諮問では、パソコンをはじめとするデジタル機器を使った遺言書の作成方式の検討を求めます。手書きに比べて本人の意思に基づいた内容かの判断が難しくなることを踏まえ、電子署名を活用したり、入力する様子を録音・録画したりする案も取り上げます。押印する必要性の検証やデジタル機器を使える範囲も議論。小泉法相は「国民にとってより利用しやすいものにする必要がある」と述べていて、利便性の高さと偽造・改ざんを防止する仕組みの両立がポイントとなりそうです。

 

 また小泉法相は、認知症などで判断能力に不安がある人の財産を家族や専門家が本人に代わって管理する「成年後見制度」についても、法制審に諮問する方針を示しました。高齢化の進展に伴い同制度へのニーズは増していますが、制度の使い勝手の悪さから見直しを求める声がかねてより上がっていました。本人の判断能力が不十分になった後、家裁が後見人を選任する「法定後見」と、本人に判断能力があるうちに後見人を選任する「任意後見」がありますが、法定後見では本人の判断能力が回復しない限り制度の利用をやめられないことに加えて、状況に応じた交代が実現せず本人の自己決定権が制限されているとの指摘がありました。法制審では、法定後見の任期を区切る「期間制」のほか、状況に合わせて後見人を柔軟に交代できるようにする見直しも取り上げられます。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年3月21日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年3月21日

宿泊税 導入に向けた動き活発化

 

 全国で宿泊税の導入に向けた動きが活発化しています。東京ディズニーリゾートがある千葉県浦安市では、2025年度以降に宿泊客から一定額を徴収する方向で検討を始めました。実現すれば県内では初めて。なお千葉県も現在、宿泊税の導入を検討中です。

 

 市によると、市内のホテルなどには1日に約2万4千人が宿泊。一方で、市内の歩道の老朽化に伴う再整備や、観光客にも対応できる救急医療体制を確立するための財源が不足しています。そこで市内のホテルに宿泊する人から徴収する宿泊税を検討するとのこと。修学旅行生を除いた約2万人に納税してもらうと仮定して、1泊につき100円を納めてもらうと、年間7億円の税収が見込めます。今後、大学の研究者や事業者、観光コンベンション協会などによる外部検討委員会を設置します。

 

 宿泊税に関してはほかに、北海道で1泊当たり100円~500円で検討が進められています。こちらも修学旅行生は課税の対象外となる方針です。道内ではすでに倶知安町が独自の宿泊税を導入し、札幌市や函館市などでも検討が進んでいます。北海道が検討している宿泊税は市の宿泊税に上乗せする形です。

 

 宿泊税は地方税法に基づく法定外目的税で、総務相の同意を得て開始するもの。近年のインバウンド需要の高まりを受け、全国で宿泊税を導入する動きが活発化しています。

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(注意)
上記の記載内容は、2024年3月21日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年1月24日

就業規則はなぜ必要?人材確保にも欠かせない

 

◆次の問にチェックを入れてください。

  代表者または役員の方にお伺いします。
□この1年間1回も会社の就業規則に目を通したことがない
□そもそも自分の会社の就業規則の内容をよく把握していない
□最近就業規則の改定を行ったのは5年以上前
「Yes」と答えた方は従業員の働き方に関する意識が低く、働くルールも不明瞭な部分が多いのではないでしょうか?

 

◆就業規則とは

 その名の通り、就業する際のルールを取り決めたものであり、労働基準法で従業員が10人以上いる企業に作成と従業員への周知、そして労働基準監督署への届け出が義務付けられているものです。常時雇用される従業員10名以上とは雇用の形態を区別していません。アルバイトやパートタイマーも含んで考えます。また、複数の支店があって足せば10人以上になるけれど、1つの支店は10人未満であれば作成も届け出も義務ではありません。

 しかし10名以上になったら初めて働くルールの適用があるわけではないので10名未満でも作成することをお勧めします。

 

◆リスキーな就業規則

 就業規則はあるけれど社長の机の中に入りっぱなし、古い規則のままで現実と実態が乖離していたりします。また、就業規則を周知させると従業員が権利主張をすると恐れる方もいます。一方で会社に不利益な言動を起こす従業員がいても解雇のルールがないので処分もままならず、ハラスメントが起きても対処のしようがないなどと不都合なことが多く起きます。また、作成を従業員に任せて自分は無関心な代表者も見受けられます。しかも規則のひな形で作成して事足りるとしていることです。

 

◆何が良い就業規則なのか

 就業規則は上記のようなリスクに対する管理面もあります。しかし作成するのに目指すは「会社の業績UPに貢献できること」です。従業員のやる気に作用する施策を制度化することです。従業員が安心して働ける環境と従業員が「会社は私たちを大事に思ってくれる」というメッセージと受け取るのです。あなたの会社の価値観を形にしていくことで本当に意義がある就業規則と言えるでしょう。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年1月24日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年1月24日

予防接種と税金

 

◆コロナワクチン無料接種は今年度末まで?

 新型コロナウイルスのワクチン接種については、現在接種の費用を全額公費で負担する「特例臨時接種」を行っていますが、今年度末、つまり令和6年3月末で終了予定です。今後の対応についてはまだ正式な発表はありませんが、「定期接種」になれば、自己負担が生じるケースも考えられます。

 さて、この予防接種ですが、会社から費用が出ている方もいらっしゃるのではないでしょうか。予防接種の費用は、条件を満たせば経費となります。

 

◆法人の経費になる条件

 予防接種は基本的に個人が費用を負担するものですが、会社が負担して経費に計上できる場合があります。

①予防接種が業務上必要であること
②すべての従業員を対象としていること
③金額が社会通念上常識の範囲であること

 以上を満たしていれば福利厚生費として認められます。

 例えば海外赴任するために予防接種を受ける際、対象となるのは海外赴任する従業員です。国内で働く従業員が個人的な海外旅行に行くために、同じ予防接種を受けたものを会社が負担しても経費にはなりません。また、体調不良や身体的な問題等で予防接種を受けられない従業員が居たとしても、予防接種をする機会が平等に与えられていれば、経費に計上する要件は満たされます。

 

◆個人事業主の予防接種

 個人事業主の場合、自分または専従者が受ける予防接種は経費にできませんが、全従業員を対象にする場合は福利厚生費として計上できます。また、予防接種はあくまでも「予防のための支出」であるため、医療費控除も適用できません。ただし、セルフメディケーション税制の対象になるケースがあります。セルフメディケーション税制は医療費控除との選択適用なので、どちらが有利になるのかを選択した方が良い場合も出てきます。

 

◆予防接種の消費税

 社会保険医療などの社会政策的な配慮に基づくものについては非課税となるため、通常病院で診察を受けたり、薬を貰ったりするのに消費税はかかりません。しかしインフルエンザ等の予防接種は、保険適用外となっており、消費税がかかります。経費になる場合、記帳に気をつけましょう。

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上記の記載内容は、2024年1月24日現在の情報に基づいて記載しております。
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■2024年1月8日

税金で損する早生まれ

 

 早生まれの人の親は税金で損をしてしまうことがあります。所得から一定額を差し引ける扶養控除の仕組みが、1~3月に生まれた人には不利なものとなっているためです。

 

 扶養控除は、16歳以上の人を扶養している家族が、所得から38万円を差し引ける制度。16歳以上か否かは12月31日時点の年齢で判定します。問題は同じ学年の生徒でも12月31日時点の年齢はふたつに分かれること。高校1年生の段階で12月31日までに16歳になって扶養控除の要件を満たすのは、遅生まれの生徒に限られます。早生まれの生徒は高校1年生の時点では扶養控除の対象にならないため、その親は遅生まれの生徒の親と比べて1年待たないと控除できないということになります。

 

 それだけであれば1年スタートが遅れるだけでトータルは同じだろうと思うかもしれません。しかし早生まれの子どもはトータルの控除額が減る可能性が高いのです。その理由は、子どもが学校を卒業して一定の給与を受けると、所得制限によって扶養親族から外れてしまうためです。そうなると、親が1年遅れとはいえ適用できるはずだった所得控除を使えなくないということになります。

 

 同様の「損」は児童手当にもいえ、児童手当の受給要件は「中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)」となっています。このため早生まれの子は15歳にもかかわらず中学を卒業しているため児童手当をもらえず、最大で遅生まれと11万円ほどの差が出てしまいます。

 

 なお例外として、1月1日生まれの人は早生まれではあっても扶養控除の対象となります。というのも、民法の規定により、年齢が一つ増える時刻は誕生日の0時ではなく、誕生日前日の24時とされているため。1月1日生まれなら12月31日の24 時の時点で16歳になり、控除対象となるというわけです。

 

 扶養控除制度には、19歳以上23歳未満の子がいる人に対し、通常より多い63万円を差し引ける特例も設けられています。大学の授業料など多額の教育費支出が必要になる親の負担を軽減するためのものですが、この特別控除も早生まれの子の親は適用まで1年待たされることになります。

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上記の記載内容は、2024年1月8日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

■2024年1月8日

忘新年会代を漏れなく経費に

 

 コロナ禍が落ち着いてきたと世間的にみられているなかで、忘年会を盛大に開催した企業は多いでしょう。あるいはそうした新年会を予定しているかもしれません。そこで、久しぶりの忘新年会の費用を経費でしっかり落とすコツを改めて確認しておきたいところです。

 

 社内の忘新年会であれば、よっぽど豪華な宴席でも催さないかぎりは、社員を交えたレクリエーションの一環として「福利厚生費」で損金に算入できます。福利厚生費で落とす時のコツは、会社なり部署なりの全員を忘年会にきちんと呼ぶこと。仕事の都合で出席できないというケースはやむを得ませんが、最初から「お気に入りの社員だけ」「役員だけ」というような縛りを設けてしまうと、一部従業員への給与とみなされてしまうので注意が必要です。

 

 一方、取引先など外部の人間を招いて行う忘新年会は原則的には損金に算入できない「交際費」とみなされてしまいます。たまたま取引先の人間が数名参加という程度であれば実務上は福利厚生費で落とせる可能性が高いのですが、それでも交際費と認定されるおそれはゼロではありません。

 

 ただし交際費は一定額までは損金にできる特例があるうえ、取引先を招いて行う忘新年会の費用は「飲食費の5千円ルール」に該当すれば経費にできます。これは外部の人間を1人以上招いての飲食で、その代金が一人当たり5千円以下であれば全額を「飲食費」として損金にできるというもの。1次会と2次会をそれぞれ5千円で落とすこともできます。福利厚生費とは逆に、外部の人間を招くことが要件となっている点に注意しましょう。

<情報提供:株式会社エッサム>

(注意)
上記の記載内容は、2024年1月8日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。